轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

11 第十一分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 页

青空文庫

「山の者。烽火をあげい」

城のうしろに、烽火山とよぶ一端がある。かれの命と共に、烽火番は、そこへ駈けあがって、すでに用意の硝煙筒へ、火を点じた。

一柱のけむりが、シュルッと、夜空へ高く走り揚ると、ごう然と、雷火の傘をひらいた。もし昼ならば、鼠いろの濃いけむりが、しばらく中天に見えているであろう。

ここ尾山城に、この一火があがると、北は、小坂、吉原、二日市、津幡へと、能登の七尾にいたるまで。西南は、野々市、松任、笠間、手取川――と各地の、のろし山からのろし山へ、音響の駅伝となって、轟音がうけつがれ、つかのまに、非常事ありの警報が、領下のすみずみにまでゆきわたる仕組みになっていた。

これは、つなぎ烽火といって、元、中国大陸で行われた古戦法の一つを、そのまま移してわが兵家が用いたものである。

「いざ、行かん」

利家は、松任の利長の人数が来るのも待っていなかった。

――来る者は後から来い、とばかり、ただちに城門を出ようとすると、年の頃十四、五歳の少年が、小薙刀を抱い込んで、かれの馬前を、馬に負けじと駈け競ってゆくので、利家は目ざわりなと思って、

「童ッ。横へ退きおれ」