轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

11 第十一分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 页

青空文庫

……われらにとっても、何やら大きな張り合いのなさを覚えずにいられぬ」

と、惜しんで、心から風聞の真実でないことを祈った――とある。

その頃、遠州秋葉の一修験者が、越後に逗留していて、上杉家の家中の者からこのはなしを聞き、

「徳川どのは、秋葉坊の大檀家じゃ。もし、御危篤がまことなら、一山を集めて、御本復の修法を営まねば……」

と、大急ぎで、遠州へ向け、帰国した。

この秋葉僧は叶坊という者で、さっそく浜松の城下に赴き、酒井忠次のやしきを訪うて、

「越後の旅先で聞いたのですが、ほんとでしょうか」

と、声をひそめて訊ねた。

忠次は笑った。

「そちも聞いたか。いや、うわさというのは、妙なもので、だれが云い出したのか、諸方から訊かれるので、家中でも、一体、何が原因なのか、ふしぎがっているところだ。――思うに、もし今、徳川どのが死んでくれたらと、あらぬ望みをもっている人間たちの間に、ふと、何かつまらぬ話のタネが聞えたのであろう。笑止笑止、大殿は、ここ戦陣もなく、いよいよ御健康じゃよ」

「へえ、では何のお障りもございませんので」

「先月、背中にちょっと、腫れ物がおできになって、典医の糟谷良斎にお診せになったことがある。