轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
11 第十一分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 页
過去は水にながして、何とぞ以後も」
と、信雄がそばから口を添えて、取りなし役を努めて見せた。
秀吉はなお笑いやまず、
「ははは。何さ、何さ。いつまで過ぎ去ったことを根に持とうや。……筑前が笑うたのは、余りにも、佐々の頭が、おかしいからだ。いま初めて、佐々の頭の凸凹を見つけたからじゃよ。悪く思うな、佐々、面を上げい、面を――」
云いながら、かれは、自身の短い差料を、帯から解いて、
「降参の褒美ぞ。佐々、これを遣る」
と、さし出した。
成政は、まごついて、どぎまぎしていたが、にじり寄って、両手で拝領した。そして、すぐ退がろうとすると、
「待て待て」
と、秀吉はちょっと考えて、
「いかに剃髪して、法衣一枚の身がるになっても、扶持がのうては、食うてゆけまい。離しがたい女房どもや眷族もあろうに。……よし、祐筆、筆をかせ」
と、みずから料紙に向って、墨付をしたためた。富山城をふくむ新川郡一郡を、この後も、成政の扶持料として与えるという印可だった。
「か、かたじけのう存ずる……」
と、成政はやっと、これだけの言葉を、歯の根をふるわせながらいった。
「いずれ、大坂へも来いよ」