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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
11 第十一分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 页
あの小男が、諸将、集会のときなど、酔うとすぐ、怪態なかっこうで、よく槍踊りをやったものよ――お許たち、家庭の者には、見せたこともあるまいが」
などと、まねして見せて、家族たちを、笑わせた。
数日を、特に、この城にいて、やがて二十一日、近江路へ入り、その月二十八日、大坂城へ、帰り着いた。
かれの軍が、大坂へもどると、難波の津から一変した新しきこの大都市の住民は、道や城の附近へ押し寄せ、夜まで、歓呼していた。
金城大坂の大規模な築城企画は、すでにその景観のあらましを竣工し終っていて、夜ともなれば、八層の天守閣、五重の城楼、本丸、二の丸、三の丸にわたる無数の狭間狭間から、あかるい灯が、夜空をかざり、東は大和川、北は淀川、西は横堀川、南は大空濠を境として、この世の物か、と疑われるばかりな夜景を現出していた。
ことに、こよい。
秀吉をめぐる老母や、夫人の寧子や、たくさんな近親たちが、どんなに、かれを迎えていることだろうか。
また、かれの供について、小牧から来た於通も、幼少の頃、信長の安土の城にいたことはあっても、この大坂城の雄大さと、内部の金壁の美には、眼をうばわれて、おそらく、その夜は、茫然としていたことであろう。