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にほんのび

日本の美

中井 正一

中井正一『日本の美』。同一底本的分册已合并为一书。收入:日本の美、近代美の研究。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,126 字 · 187 页

青空文庫

例えば、これは八代博士の指摘されたことでありますが、南宋の牧谿という人の作品などは、日本の作家は、最高の作品として評価したのでありました。しかるに、中国の批判家は、代々これを、「麁悪無比」とか、「※(「鹿/(鹿+鹿)」、第3水準1-94-76)悪無古法、誠非雅玩」といって相手にしない。いわば、南画の真髄は、日本に渡ってまず、その光を放っているともいえるのであります。

そして、それと反対なのは、中国の康熙・雍正・乾隆の極彩色の陶器は、中国の最高の芸術として西洋の最も高く買うところのものですが、日本の茶席では、それが、「わび」のこころに合わず、それほどの評価となってこないのであります。もっと軽い柿右衛門か、むしろ朝鮮の李朝のもの、あるいは唐津にいたって初めてそれを高く買うのであります。

その最も対照的なものは、顔真卿の「書有風格」という字と、『中務集』の「仮名書」をくらべてみられるならばわかるように、中国の字、すなわち漢字が、四角な空間を厳然と占めて凛と張った格の中に、キチンと静止しているのにくらべて、日本の仮名書きは、もともとそれから出発したにもかかわらず、水手書き、葦手書きと名が示すごとく、流動してやまぬ水の流れのごとく、さらさらと跡かたもなく流れ去っていくのである。