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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
岡本綺堂『明治劇談 ランプの下にて』。同一底本的分册已合并为一书。收入:明治劇談 ランプの下にて、明治演劇年表。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 页
劇評家側ではそれに対して応戦する者もなく、結局それぎりになってしまったが、わたしの知っている限りでは、こんな出来事はあとにも先にもただ一度であった。
この年には今の明治座が出来た。前の千歳座は二十三年の五月に焼けて、爾来そのままになっていたのが、今度新しく建て直されて、十一月の一日に開場式を挙げたのである。狂言は「石橋山」と「扇屋熊谷」と「遠山桜天保日記」とで、俳優は左団次一派と権十郎、それに団十郎も加わって中幕の熊谷と二番目の不動明王とを勤めていた。この劇場は左団次が持主であったので、その一門はことごとくここに集まって、いわゆる明治座一派を初めて形づくる事になったのであった。
中村座と市村座をうしなった東京の劇界は、明治座の出現によって少しくその損失を償ったわけである。参考のために、その当時の大小劇場の名を左に挙げてみよう。
大劇場――歌舞伎座、深野座、春木座、明治座。
小劇場――真砂座、柳盛座、新市村座、三崎座、新盛座、浅草座、吾妻座、常盤座、藍染座。
なお、参考のために、明治二十七年一月興行の入場料を左に記すと、歌舞伎座は菊五郎、福助の一座で、桟敷一間四円四十銭、高土間三円三十銭、平土間二円四十銭、但しいずれも一間五人詰の価であるから、一人分はその五分の一であることを忘れてはならない。