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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
岡本綺堂『明治劇談 ランプの下にて』。同一底本的分册已合并为一书。收入:明治劇談 ランプの下にて、明治演劇年表。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 页
明治座は十月、歌舞伎座では十一月興行に、いずれも新作の戦争劇を上演した。明治座の「会津※明治組重」は竹柴其水の作、維新の会津戦争から今度の日清戦争までを連続して脚色した通し狂言で、むかしの戦いと今の戦いとを対照して見せたようなものであった。その中で、築地のシナ人の別れが面白く、左団次のシナ人と秀調の女房とが好評であったが、肝腎の日清戦争の場は妙な格好をした軍人が大勢出るので打ち毀してしまった。歌舞伎座の「海陸連勝日章旗」は桜痴居士の作、これは大鳥公使の談判から原田重吉の平壌玄武門先登を脚色したもので、団十郎は大鳥公使と御用船の水夫と原田重吉の父との三役に扮し、菊五郎は原田重吉に扮したが、初めから仕舞いまで殆んど劇的の場面がないので、その当時新聞紙上を賑わしていた原田重吉の功名譚という以外には何の興味もひかなかった。
今日とは違って、その当時のあらゆる戦争劇は、戦争を背景として何物をか暗示しようとかいうたぐいの作物は一つもない。いずれも単に戦争の現場を見せようとするのが趣意であるから、その場面の善悪巧拙が直ちにその劇の運命を決するのであって、その成功と不成功とは一にこれにかかっているのである。