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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
10 その九 覆面屋敷
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,820 字 · 54 页
現に良伯に脈を見てもらうのは祖父と風守の覆面二人組だけであった。父も光子も文彦も新式の西洋医学の先生に診てもらっていた。光子は内科の三田先生に何気なくきいたことがあった。
「夢遊病って、悪い病気ですか」
「そうですね。ちかごろ催眠術というものがハヤッていますが、まア、自然に催眠術にかかったような状態で歩きまわるのでしょう」
「悪いことをするのでしょうか」
「どんなことをするかは各人各様でしょうが、人間が目をさましている時に行うことは、みんな行う可能性があるでしょうな」
「それは不治の病でしょうか」
「精神病というものは、たいがい不治のようですね。フーテン院へ入院するということは生涯隔離されるということらしいですな」
光子の突きとめたことは香ばしいことではなかった。そのころの精神病院は小松川にフーテン院というものがあったし、巣鴨病院があった。フーテン院は後に小松川精神病院と名を改め更に加命堂と云ったそうだ。巣鴨病院は明治十二年の創立。東京医科大学の精神病学教室は、明治十九年にドイツ帰りの榊原教授を主任に開かれたものの由である。
風守を座敷牢へ閉じこめることは納得せざるを得ないようであった。