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えいがざっかん(しち)

映画雑感(Ⅶ)

寺田 寅彦

「渋柿」1935(昭和10)年10月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,071 字 · 4 页

青空文庫

二 ロバータ

しかし、結局それはすむ世界の相違であり、生まれついた人種の差別である。議論にはならない。

世界じゅうでいちばん「若い」アメリカ人が一九三〇年代の今ごろになって、いくらかこの俳諧の世界の存在に気づいて来たように見えるのははなはだ興味の深いことである。そうして、そのうちに本家の老舗の日本人がこのアメリカ語に翻訳された「俳諧」の逆輸入をいかなる形式においてしおおせるであろうかを観望するのは、さらにより多く興味の深いことである。

日本映画人がかつてソビエト露国から俳諧的モンタージュの逆輸入を企て一時それに熱中したのはすでに周知の事実なのである。

二 ロバータ

前に見た「コンチネンタル」と同じく芸人フレッド・アステーアとジンジャー・ロジャースとの舞踊を主題とする音楽的喜劇である。はなはだたわいのないものである。これを見ていたとき、私のすぐ右側の席にいた四十男がずっと居眠りをつづけて、なんべんとなくその汗臭い頭を私の右肩にぶっつけようぶっつけようとしていた。全くこうした映画に全然興味をもとうという用意のない正直な観客には退屈至極な映画であろうと思われた。

しかし、私にはこのアステーア、ロジャースの踊りのデュエットは見ていてやっぱりおもしろい。