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しゅんせつのでわじのみっか

春雪の出羽路の三日

喜田 貞吉

「社会史研究 第九巻第六号」1923(大正12)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,521 字 · 33 页

青空文庫

案内をうけて、同じ邸内ながらも雪の山に登ったり、雪の谷に降りたりしつつ、やっと書庫にたどりつく。書庫はまだ新しい土蔵造で、一方にお座敷がついている。深沢君はここで書籍を整理したり、閲覧したりしておられるのだ。蔵書目録がまだ整頓しておらぬので、拝見するには不便であったが、所蔵の書籍の種類は各方面に渉って、この文庫の特徴というものがなさそうだ。江畑君も将来これをいかに発展せしむべきかに迷っておられる。そこで自分は、郷里の石原君の呉郷文庫が主として歴史と地理とに局限せられ、特に阿波に関する史料の蒐集に力を用いられつつあることをお話しして、どうで歴史好きの深沢君が関係しておられることだから、なるべくこの方面に発展せしめられ、特に出羽に関する史料ならば、この文庫へ来ればなんでもあるというくらいの抱負をもって蒐集に尽力せられたならおよろしかろうとお勧めしたことであった。江畑君もこれには賛成せられた。深沢君の同感は言うまでもないことと信ずる。

蔵書の中から『真澄遊覧記』を借り出して、ところどころ拾い読みした。前号資料欄に納めておいたのは、その中の一節である。