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しょうわよねんのぶんだんのがいかん
昭和四年の文壇の概観
平林 初之輔
「新潮 第二六年第一二号」1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,557 字 · 29 页
七 プロレタリア作家
広津和郎も何とかなりそうで、まだ注目すべき作品を示すには至らなかった。その他個々の作家を列挙すればきりがないが、一般に正統派文壇においては、いわゆる中堅作家が、急激に没落したことが目立つ。もちろんこれは、中堅作家の創作力が衰えたということよりも、むしろ出版資本の集中による作品発表機関の相対的減少と、新作家が比較的自由に文壇にのりだすことができるようになった事情とに制約されているのであろう。
七 プロレタリア作家
プロレタリア文学の陣営は、ともかくも年一年と上向線をたどっていることは事実である。これはプロレタリア階級そのものの進歩的性質にもよるのだが、もう一つは、プロレタリア政治的戦線においては、極度の暴圧がひきつづき加えられつつあるに反して、文学の方面では、不思議にもプロレタリア文学は比較的好適な条件のもとにおかれてあるという事情にもよるのである。それと同時にまたそれは、プロレタリア文学は、まだ、プロレタリアの政治運動のように、ブルジョア社会の存立を脅かす程の力をもっていないために、黙認されているからだという説明も可能であろう。ちょうど合法的無産政党が、一般には多少の好奇心もまじって気受けのよいのと同じである。