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しょうわよねんのぶんだんのがいかん
昭和四年の文壇の概観
平林 初之輔
「新潮 第二六年第一二号」1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,557 字 · 29 页
一〇 「文学派」の発生
だがそんなことよりも何よりも、批評家にとって、特にプロレタリア批評家にとって、早速とりかからねばならぬ仕事は、明治、大正、昭和三代を通じて築き上げられたブルジョア文学を全体性において、歴史的に、分析的に研究することである。大宅壮一が提唱した、「プロレタリア文学概論」のごときは、この基礎的研究なくしては不可能だ。ロシアの理論を輸入することよりも、日本の現実を知ることの方が遥かに意義のある仕事だと言えよう。
一〇 「文学派」の発生
功利主義に対する、反功利主義、形式主義に対する内容主義、これは、文学の弁証法的進化をつらぬく核心であるといえよう。「文学派」はこの意味で、昨年来の形式主義の継承であり、その形式主義はまた、その以前の新感覚派の継承である。そしてこれらの根幹をなす主張は、「芸術のための芸術」主義であり、唯美主義である。そしてこの潮流の陰に常に隠見するのは横光利一の姿である。彼をとり囲んで、川端康成がある。小林秀雄がある。堀辰雄がある。犬養健がある。さらにアルチュール・ランボーがあり、マルセル・プルーストがある。
これはマルクス派文学に対するアンチテーゼである。