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しょうわよねんのぶんだんのがいかん
昭和四年の文壇の概観
平林 初之輔
「新潮 第二六年第一二号」1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,557 字 · 29 页
一一 閨秀作家一瞥
だが、一定の期間がたつにつれて、この騒音と、不明快の中から、明快なコーラスが聞きとれるようになるだろう。その時こそ、文学派が自己のリアクショネール〔反動〕としての積極的役割を意識する時だ。要するに「文学派」の発生は必然的であり、マルキシズム文学派にも、もし彼らが十分に寛容であるなら、今日の段階では、ある程度のよい刺激を与え得るだろう。マルクス主義が正しいにしたところで、それに属する人々の作品や文学理論が全部すぐれているわけでは決してないのだから。
一一 閨秀作家一瞥
『女人芸術』がだんだんととのってくる。『婦人サロン』が生まれる。みんなリベラルな婦人のグループだ。
平林たい子はもう下り坂になったという話をよく聞くが、私は彼女の全盛時代をよく知らないせいか、そうは思わない。創作では近頃大した注目すべきものを見せないが、議論はだんだんしっかりしてくるように思う。上田文子にはまだ女らしいセンチメンタリズムがのこっているようだが、中本たか子は理知的で、特に器用である。二人とも左傾したということだが、後者に未知数的な期待が多くもてるような気がする。その肉体ほどではないが、とにかく相当に豊満な創作力をもっていた中条百合子がロシアに行ってから、あまり作品を見せないことは、この一派を淋しくしている。