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とけいやしきのひみつ

時計屋敷の秘密

海野 十三

「東北小国民」1948(昭和23)年5月~10月、「AOBA」(「東北小国民」改題)1948(昭和23)年11月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,481 字 · 74 页

青空文庫

「うん、分ったよ、それじゃ頼むよ、では、ぼくは井戸の中へはいってみるよ」

八木少年は、もうかくごをきめて、綱を握り、身体をまかせた。しずかに、そろそろと綱を伝わって下りていく。

ひえびえと、しめった井戸の冷たさが、八木のくびのあたりを襲った。ますます暗い、五メートル、十メートルと下りていくにつれて心細さがわく。

しかしもう決心したことだから、途中でもって、「この綱をひき上げてくれ」などと弱音があげられたものではない。八木少年は、自分の心をはげましながら、なおもするすると、から井戸を下りていった。

「あッ」

いきなりあたりがうす明るくなった。それとほとんど同時に、八木の足は下についた。

さあ、ここはどんなところかと、八木少年は、すばやく身構えをして、ぐるっと四方八方をにらみまわした。そこは一坪ばかりの円形の穴倉になっていた。そこから一方へトンネルがつづいていた。

(どこへつづいているトンネルだろうか)

分らない、その奥のことは。

ガラス天井

八木少年は、すかしてみたけれど、奥はほの明るいだけで、はっきりしたものの形は見えない。

(あの明るさは、どこからさしこんでいる明るさだろうか、あそこまで行けば、もっとこのトンネルの中のことが分るかもしれない)