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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

うまい考がうかんで、それを言い出す時には、いつも顔が赤くなるのです。

「僕は黒い紙の下の方が、よけいにとけていると思います」

「なぜだね」

「黒い紙の下の方があたたかいからです」

「ほう、北川君とまるであべこべの考え方だね。それじゃ、なぜ黒の下があたたかいか、そのわけを言ってごらん」

「僕、いつかお父さんに教わったことを、ふと思い出したんです。南洋の住民はみな白い着物を着ていますね。インド人もそうですね。あつい国の人がなぜ白い着物を着るのか、僕、ふしぎに思ったものだから、お父さんにたずねたことがあるんです。

すると、お父さんは、同じ布でできていても、白い着物は涼しくて、黒い色の着物はあついのだと教えてくれました。ですから、あつい国の人は白い着物を着るし、寒い国の人は黒っぽい着物を着るんですって。水兵さんや、おまわりさんの服が、夏は白くて、冬は黒いのもそのためなんですって。

僕、その話を思い出したんです。だから、白い紙の下は涼しくて、黒い紙の下はあたたかいだろうと思ったのです。あたたかければ、雪はよけいにとけるわけですからね」

「うん、おもしろいことを考えついたね。