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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

行くのだ。

足尾の坑内へはいるのには、三箇所しか入口がないけれど、一度入口をはいると、枝道から枝道へとわかれて、まるで蜘蛛の巣のように道がついている。その上、坑内に十何箇所もエレベーターがあって、上へも下へも行けるようになっている。山全体が、一つの大きなビルジングみたいなものだ。まっ暗なほら穴のビルジングだ。

僕はトロッコをおりると、案内の人につれられて、エレベーターで一階だけ下へくだり、それからせまい穴の中を、カンテラの光をたよりに、奥へ奥へと進んだ。ところどころに二十メートルも三十メートルもある直立のはしごが立っていて、カンテラを持ったまま、それをあがったり、さがったりしなければならない。ちょっと気味がわるいけれど、なんだか冒険小説の主人公にでもなったような気がして、僕は大よろこびだった。

やがて、坑道の枝道の一つの行きどまりに来た。機関銃のような音がしているので、はっとしたが、行ってみると鑿岩機だとわかった。二人の工員がそれを使って、ばりばりばりと岩に穴をあけているのだ。

その穴の奥へダイナマイトをしかけ、岩を爆発させて、飛びちった鉱石を外へはこび出す。