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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

まで送って下さったのです」

「誰だろう。僕の学校の生徒かしら」

「ええ、そうらしいのよ、一太郎さんのお友だちかもしれないわ。お母さんが出て行くと、走っていってしまったので、うしろ姿だけは見たけれど、誰だかわからないのです。妙子ちゃんも知らないって言うの。

でも、妙子ちゃんが、ここの子だっていうことを知っていたのを見ると、やはり、一太郎さんのお友だちか知れないわ。あした学校へ行ったら、さがして、お礼を言って下さい」

「そうですね。……でもね、お母さん、もしその生徒が、僕のなかよしの友だちだとすると、なかなかさがし出せないかも知れませんよ」

「なぜなの?」

一太郎君が妙なことを言ったので、お母さんは不思議そうな顔をなさいました。

「あのね、僕の組で、なかよしの友だちが六人いるんです。その六人が約束して、一日一善っていう事をやっているんです。なんでもいいから、人のためになる事を、一日に一つはかならずやるっていう約束なんです。僕も毎日やっているんです。でも、何をしたかは言えません。言っちゃいけないっていう約束なんです。

ほめられたりお礼をいわれたりするためにやるんじゃなくって、ただいい事だからやるんでしょう。