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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

一太郎君は高橋さんがだんだんすきになって来ました。いろいろな科学のお話をしてくれるからです。しかもそのお話は、さすがの一太郎君も、少しも考えていなかったような、なんだかびっくりするような珍らしいことばかりだからです。この頃では、毎日一度は高橋さんの顔を見ないでは、気がすまないほどになっていました。

二十三日は、満月の前夜でしたから、よく晴れた空に、ほとんどまんまるな月が、美しく光っていました。高橋さんと一太郎君は、広いお庭に面した縁側に腰かけて、空の月をながめながら、月というものについて、いろいろなお話をしました。

月は自分で光るのでなく、太陽の光にてらされて光っているということ、地球は太陽のまわりを、一年かかって一廻りするが、月は地球のまわりを一箇月たらずで、一廻りするということ、月の世界には空気がないから、動物などはすんでいないだろうということ、しかし、人間は、いつか一度月世界へ旅行してみたいというのぞみを持っていて、昔からたくさんの人が、どうすれば月の世界へ行けるかということを考えた話、近頃ではロケットというものが発明され、ゆくゆくはそのロケットに乗って、月世界へ飛んで行けるようになるだろうと考えている人もあること、広い広い天の世界の話を聞いていると、一太郎君はなんとも言えない、ふしぎな気持になっ