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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

そして、筒の先の穴と月の大きさとが、ぴったり同じになった時、紙筒を目からはなして、その先の穴をしらべてみますと、なんと驚いたことには、それは直径三粍あるかなしかの、米つぶほどの小さなものになっていました。

「はははは、驚いたかい。洋食皿と茶碗の間ぐらいだった月が、五十銭玉になり、五銭玉になって、おしまいには米つぶほどに小さくなってしまった。この画用紙の筒は魔法の眼鏡だね」

「へんだなあ。画用紙に何か仕掛があるのですか」

「いいや、仕掛なんかありゃしないよ。これは手品じゃないんだよ。画用紙の筒なんかなくったって、ちゃんと同じ実験ができるんだからね。一つやってごらん。君の右の手を目から五十糎ほどはなして、親指と人差指で、月の大きさをはかってごらん。そうすると、月がどんなに小さいかということがわかるから。

腕を一ぱいにのばしては、五十糎より遠くなるから、肘をまげて、ちょうど五十糎ぐらいのところで、やってみるんだ。この紙筒の長さが、やっぱりそのくらいなんだからね」

一太郎君は言われるままに、目の前に手をのばして、人差指と親指の間をせばめて、月の大きさをはかってみましたが、すると、二つの指の間が、やはり三粍ほどになるのでした。