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まつのみさおびじんのいきうめ

松の操美人の生埋

三遊亭 円朝

02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,963 字 · 176 页

青空文庫

処へ台所口から、

半治「御免なせえ、えゝ真平御免なせえ、海禪さんお宅ですかえ」

海「はい、何方え、何方でげす」

半「西浦賀の江戸屋の半治ですがちょっと明けておくんなさい」

海「困ったもんだな、何じゃしらんが愚僧は今寝たがねえ、何うか用があるなら明日来て貰いたいものじゃがねえ」

半「どうかそんな事を云わずに一寸明けておくんなせえ、お願えだが」

海「よう寝附いたがねえ」

半「寝附いた者が口をきく奴があるものか、起きて居るじゃアねえか」

海「それは眠りに附いたじゃないが床の中へ潜り込んでるので、寒うて起きられんがねえ」

半「寒い時分でも無えじゃアねえか、冗談じゃアねえ胡坐ア掻いて居るじゃアねえか」

海「覗いて居やアがらア、困ったねえ、マア待ちな/\今明けるから」

と傍にある鰺の塩焼や軍鶏などを経机の引出の中へお仕舞と致しまして、香物鉢と茶碗を載せて前の膳を傍へ片寄せて、

海「さア其処が開くから土間の方から上りなさい」

半「はい御免なせえ」

と戸を開けて這入ると、上り口は広い板の間で、炉が切ってあって、自在鈎に燻った薬鑵が懸ってある。

海「さア此方へ這入んなさい」