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まつのみさおびじんのいきうめ

松の操美人の生埋

三遊亭 円朝

02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,963 字 · 176 页

青空文庫

ことで、粥河が先刻よりお待兼申し居りまする、さア速かにお通りあらせらるゝ様に、おや何だ、何処かへ行って居ねえわ、山三郎殿は来たのかと思ったら何の事だ」

長「居ねえってお前が頭を土間へくッつけて、ぐず/\云ってる中、頭を跨いでつう/\先へ行って仕舞ったのよ」

禮「なんだ、そんなら左様と早くいうが宜い、馬鹿/\しい」

と千島はぶつ/\云って居ります。此方の山三郎は中々待ってなどは居りません、ずん/\玄関口から案内もなくずうっと奥へ通り、粥河圖書の居ります二間の大床の檳榔樹の大きな柱の前の処へぴったり坐って、体を据えました。これは若し乱暴でも仕掛けたときは柱を楯に取って多勢を相手に切捲ろうという、そこで床柱の際へ坐りました。前へ釣の弁当箱を置きまして座を占めました坐相の見事なこと実に山をゆり出した様な塩梅で、粥河は先ず驚きまして、

圖「これ/\千島、これへお出になるに御案内もせんで何ういうものだ」

禮「御案内致そうと心得まして、彼れへ参って挨拶をして居るうち、頭の上を跨いで奥へお出で、驚きましたので」

圖「怪しからん、届かん事ではないか、これは/\宜うこその御尊来で、粥河圖書身に取りまして実に大悦至極にござります、昨夜の御意見に附きまして、同類の者へもそれ/″\尊公様の思召の通りを申し聞けました