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つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
坂口安吾『桜の森の満開の下』。同一底本的分册已合并为一书。收入:土の中からの話、家康、閑山、禅僧、小さな部屋、道鏡。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 页
永手は彼らの最長者であり、官職も中納言にすすんでいたが、百川はまだ二十五をまわったばかりで、取るにもたらぬ官職だった。然し、その老獪な策略と執拗な実行力はぬきんでていた。
彼等のすべてが押勝の腹心だった。押勝に媚び、すすんで忠勤をはげみ、その報酬に官位の昇進を受けていた。彼等は面従腹背を人の当然の行為であると信じていた。彼等はむしろ押勝よりも悪辣であり老獪であり露骨であった。百川は道鏡をしりぞけてのち、自分の好む天皇をたてる陰謀に成功した。更にその後、皇太子の廃立に成功したが、彼のすすめる親王を天皇は好まなかった。その天皇を責めたてて、四十余日、夜もねむらず門前にがんばりつづけ、喚きつづけて、天皇を根負けさせているのであった。
彼等はむしろ押勝以上に策師であり、智者であり、陰謀家であり、利己主義者であり、かつ礼節も慎みもなかったから、押勝の専横に甘んじて、その下風に居すわる我慢がなかったのである。
彼等の共同の目的は、押勝の失脚だった。するとそこへ、思いもうけぬ好都合の人物が登場してきた。それが弓削道鏡であった。
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道鏡は天智天皇の子、施基皇子の子供であり、天智天皇の皇孫だった。