轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
02 第二部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页
「惜しかったなあ。」
と言った。
ただ、何とも言わなかったのは、権田原先生だけだった。先生は、次郎に対してだけでなく、どの児童に対しても、合宿を引きあげて以来、試験の成績のことなど忘れたような顔をしていた。次郎には妙にそれが嬉しかった。そして、何かといえば自分を引きあいに出して、入学試験の話をしだす先生たちや、児童たちがうるさくてならなかった。
入学試験の失敗にからんで、もっと大きな問題になったのは、次郎が四月から町の小学校に転ずるか、あるいは、もう一年正木の家に厄介になるか、ということであった。
これについては、俊亮と正木の老夫婦とが、いろいろ首をひねったあげく、一応、お芳の考えを訊いてみたら、ということになった。ところが、お芳にはまるで自分の考えというものがなかった。彼女は、ただ、「皆さんでおよろしいように」とか、「次郎ちゃんの好きなように」とか言うだけで、それが自分にどんなかかわりがあるかさえ考えていないかのようだった。で、結局、次郎本人の考えに任せるのが一番よかろう、ということに落ちついたが、さてそうなると、今度は次郎が非常に迷い出した。