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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
02 第二部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页
そして今更のように、正木の家はいいなあ、と思った。
しかし、一方では、どうしたわけか、しばらくぶりで逢った従兄弟たちが、何とはなしに物足りないように思われてならなかった。むろん、彼らが次郎に対して、いつもよりは冷淡だったというのではない。それどころか、芋を焼いていた彼らが、次郎が帰って来たのを知ると、彼をも仲間に入れようとして、すぐ飛んで出て来たのには、むしろいつも以上の親しさが感じられた。それにもかかわらず、次郎は、彼らとこうしていっしょにおしゃべりをしたり、笑ったりしているのが、何とはなしに、いつもほどしっくりしない。
彼は、自分ながら変な気がした。
従兄弟たちは、いったいに、学校の成績はいい方ではない。久男は、恭一よりも二つも年上だが、少し耳が遠いせいもあって、中学校には二度も失敗し、やっと私立の商業学校にはいって、今二年である。源次は次郎より一つ年上で、気はきいているが、ずぼらなところがあり、やはり一度は中学校に失敗して、この三月に、次郎といっしょにもう一度受験することになっている。しかし、今でもちっとも勉強しようとはしない。この二人にくらべると、彼らの義理の弟になっている誠吉の方が、ずっと出来がいいのだが、彼はまだ尋常四年だし、次郎の勉強の相手にはてんでならない。