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みんげいよんじゅうねん
民藝四十年
柳 宗悦
柳宗悦『民藝四十年』。同一底本的分册已合并为一书。收入:民芸四十年、改めて民藝について、四十年の回想。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,248 字 · 368 页
おそらく画工たちは何を描くかを思うことなくして、描き得たのであろう。否、何を思うとも、彼の筆の運びに躊躇いはなかったであろう。それまでに彼の筆は定まっていたにちがいない。私は同一筆者の筆になる、ほとんど同一の絵をしばしば見かけたことがある。かくまでに定まっていたが故に、心にも手にも乱れはなかったであろう。ある時は笑いつつ描き、ある時は怒りつつ描いたのであろう。だが如何に気分が左右されるとも、彼の手を左右するものはなかったのである。彼はなだらかに、いつもの如き順序と、いつもの如き色彩とを以て、いつもの如き図を描いたのである。美しく描こうとする意識が、彼の作を守護しているのではない。彼の反復と伝統への帰依とが、美を保証しているのである。彼が描くというよりも、描かされているに過ぎぬ。
大津絵は民画である。どこまでも民衆的絵画である。実用を旨とし、同じものを数多く価安く描いたのである。描く者も民衆の一人であり、購う者もまた民衆である。かかる意味で、それは美術というよりも、むしろ工藝である。工藝としてのみ解き得る絵画である。なぜならそこには個性がないからである。