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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

と考えていた。しかし、バスの停留所で誰からもかまわれなかった時、彼は自分に惨めさを感じたが、この家政婦の場合はそうでなかった。むしろその冷淡さはさっぱりして、気に入った。くどくどと問いただされるのは、惨めさを復習するようなものだったからだ。

やがてかかりつけの医師が来た。頭の禿げた、酒好きの好人物で、病気にかかってもきびしい戒律を課さないから、栄介はこの医師が好きであった。

「どうしました?」

栄介は事の次第をかんたんに説明した。最後につけ加えた。

「ギックリ腰というやつではないかと思うんですがね」

医師はその言葉に、別に反応は示さなかった。うつむけにさせて、腰部のあちこちを押したり動かしたりして、診察はそれで済んだ。

「腰痛と言っても、いろいろありましてね、原因がつかめない場合が多いんですよ。しかしあんたの場合は、やはり腰を打って、その部分がネンザしたり、よじれて炎症を起したんでしょうな。鎮痛剤を打っときますから、安静にしておれば、その中治るでしょう」

しかしなかなか痛みは去らなかった。三日目、妻の美加子の勧めで、指圧師にかかった。美加子は言った。