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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

初めてその女房の顔を見た時、彼は意外に思ったことを覚えている。城介の初期の手紙で、彼の言葉の訛りを嘲笑する意地悪な女と思っていたのに、思いのほか感じのいい女だったからだ。

「そうかねえ。そんなものかねえ」

栄介は誰に言うともなく言った。

「城介はあの女を嫌っているものとばかり思っていた。加納さん。勤め先は何商売か、彼は言ったかい?」

加納は首を横に振った。

城介の遺骨を名古屋から持って帰り、納骨をすませて十日ほどして、葬儀屋の内儀は子供を連れて、墓参に来た。墓参と言うより、退職金を含めた香典を届けに来た。それは予想したよりもずっと多額の金であったらしい。母親は言った。

「やはり葬儀屋というのは、義兄さんの言った通り、儲かるもんだねえ。たくさん持って来たよ」

「そうかい」

栄介はその金額は聞かなかった。

彼は内儀を矢木家の墓に連れて行った。寺は汽車に乗って、四駅目の田舎にある。住職は福次郎と中学が同級で、そのせいで菩提寺に定めた。墓の中には、すでに福次郎と竜介と城介の骨が眠っている。内儀は十分ほどその前で合掌していた。

墓地は丘の中腹にあった。日だまりの枯芝の上に坐り、栄介は女の子に言った。