轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

その帰還の準備中に、パビナールがごっそり抜き取られたのである。

「まさか矢木が?」

と加納は一瞬いぶかった。オルドス作戦前後、城介がパビアトを時々使用していたことは知っている。しかしそれは一時的な鎮静の意味で、常用すればどうなるか、衛生兵として知らないわけがない。加納はその思いを一度は打消した。しかし薬品管理、ことに麻薬関係は特に厳重になっていたので、部隊外から盗まれたとは考えられない。一抹の疑念が加納には残った。

南下と同じコースで大同へ出発。甲板の上で城介は加納に言った。

「後髪を引かれる思いだねえ」

冗談めかしたような、いくぶん憂いを帯びた口調であった。

「どちらかと言うと、城介君は山よりも海が好きだったようですな」

加納は私に説明した。

「人間には山型と海型と、二つに分けられるらしい。生れつきですかな」

軍用船から汽車で大同に着く間、加納は無意識裡に、というより何か心がかりで、ちらちらと城介の動きに注意していた。しかし彼がパビナールを使用している現場を、あるいはその気配も、加納はとらえ得なかった。

「しかしやはり矢木君はやってたんだね」

加納はパイチュウをぐっとあけた。