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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

「おれはふた児として生れた。ひとりで生れた経験がないんで、断言は出来ないけれど、ふた児同士には特別の感情の交流があるんじゃないかな。たとえば僕には竜介という兄と、他に弟と妹が一人ずついる。それらに対する感情は、やはり城介に対するのと違うものね」

「年齢の差からかな」

「そうだろうね。同じ胎内に育って、同じ日に生れた。何かを分け合った、つまり分身、自分の分身だというような――」

「初めからかい。その感じは」

「いや。初めはそうじゃない。これが自然であたりまえと思っていた。いや、思いもしなかった。ずいぶんフケが出るな。久しく頭を洗わないもんだから」

彼は膝の上のフケをはらった。

「小学校に入って見ると、友達はみんな別々の顔をして、同じような顔のは一組もいない。そのへんからだろうな。実感として出て来たのは」

私は庭にへばりついているゼニ苔を眺めていた。この前に来た時にくらべると、ずいぶんはびこっている。

「城介が他のやつと喧嘩をすると、おれが加勢に出るし、おれがやると城介がかけつけて味方になった。仲良く協力して、外敵に当った。ところが家に帰ると、他愛もないことで、おれたちはよく喧嘩をし合ったもんだ。