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ねこはち

猫八

岩野 泡鳴

「大阪毎日新聞」1918(大正7)年9月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,513 字 · 39 页

青空文庫

と、主人は反駁した。

「いや、いかに商売でも、四角張っていくらで来てくれるかと出られちゃア、もう、なに、くそッ、勝手にしろという気になります、な。寄附なら寄附でようごぜいますし、出せるならまた黙って身分相当に出せばいいでしょう」

「そんな旧式なことアだめだよ。それよりゃア初めから何円以上でなけりゃア招かれない、そして貴族なら貴族のように平民よりもずッと高く出せと、前もって請求する方が今時はかえって見識だろう」

「しかし金銭のことを申すときたなくなりますから、な」

「それが今の芸人どもの旧臭味、さ!」

「どうせ今の芸人にゃア新らしい真似などはできません。奇麗に出てこなけりゃア、おそらく、たいていぴッたり断りましょう。ある時など、わたくしがはだかで鍬を運んでますていと、畑のところまで○○子爵からのお使いがあって、いつ、何時からという約束になりましたが、いくらやればいいのだと聴かれたので断然止めてしまいました。芸人は意気で生きてますから、な――その代り、気が進めば、ただでも行ってやります」

「それも悪いことはなかろう――ところで、高見君のやりだそうという養豚の事はどうなりました」