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ねこはち

猫八

岩野 泡鳴

「大阪毎日新聞」1918(大正7)年9月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,513 字 · 39 页

青空文庫

と言って、主人は話題を転じてしまった。そして小説とはまったく別なことをもよく知ってるかして、その方の話がしばらく皆とともに続いた。

「わたくしが来ておりますからッて、そう動物の事をばかりお話になるにゃア及びますまい」と、洒落を言ったことは言ったが、自分は、もう、だいぶんに倦んでいた。取るべき晩食をまだ取らないので、腹がすいてきたにも由るのだろう。

「どうせ電車はなくなったのだから」というようなのんきなことをあとの客は語り合ってたが、自分は皆が早く引き上げればいいと思われた。そして気がめいってくると、不思議に気にばかりなったのは、今夜の謝礼を――出なければ出なくてもいいのだが――高見さんから出すのか、ここの主人からか? それとも、このままになってしまうのか、ということだッた。本職の自分とともにお喋舌ばかりする奴らはいるが、聴き手としての気が利いていそうなものはなかった。

この会が今にも解散する時には分ることだろうと辛抱しているのである。それにもかかわらず高見さんを始め、皆が思いやりなく動きもしないので、だからッてしかしぼんやりさきへ帰るのもつまらないので、自分はまた奥さんを相手に今までまだ忘れていた自分の畑の事を語った。