轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
徳田秋声『現代日本文学館8 徳田秋声』。同一底本的分册已合并为一书。收入:縮図、仮装人物。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 页
」
庸三は呟いたが、葉子もこだわりはしなかった。
縁側へ上がって裾についた草の実を払っているところへ、黒須が来たのであった。もうその時分は郷里からつれて来た女中もいなかった。彼女は新らしいハッピを着た、まだ四十にはならない職人風の父親が、わざわざ逗子まで来て連れ帰った。その時葉子は海岸の砂丘にいたが、今度の恋愛事件で、郷里の新聞がまたしても筆に火花を散らして書き立てた結果だということが解るし、母や兄がまたどんなに困っているかということも想像できるので、不断の葉子なら遠くからやって来たこの父親を、そのまま帰すはずもなかったが、彼の姿を見ると、ちょっと頬を染めただけで、顔も見せないようにしていた。少し離れていた庸三も見て見ぬふりをしていた。
「縁談があるんですって。」
葉子は言っていたが、東京では若い人たちに騒がれていた、いつも葉子に忠実であった彼女も、汽車の時間の都合で、挨拶する隙もなく連れて行かれてしまったのであった。
葉子が玄関わきのサロンで黒須に逢っているあいだ、庸三は奥の座敷で莨をふかしていた。二人の話し声が聞こえ、軽い葉子の笑い声もしたが、何を話しているかは解らなかった。