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ねむりにんぎょう
眠り人形
野村 胡堂
「少女倶楽部」1929(昭和4)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,770 字 · 16 页
「叔父さん、どうしましょう」
「大ピラに手紙が書けなかったので、こんな細工をしたのだろう。買収した悪漢の手下の持っている安鉛筆で、西洋煙草を包んだパラフィン紙へ書いたのだ――、あの人達が見付けなかったのは、紙片があまり小さ過ぎて気がつかなかったのだろう」
「叔父さん、まだそんなに遅くはないから、自動車で行きましょう、早く助けてあげないと、あの人達が可哀そうよ」
「よし行こう、とにかく、あの母子に知らせなくては……私一人で沢山だ、加奈ちゃんは家で待ってお出で」
「嫌、私も行くわ、このお人形さんを持って」
加奈子は母の許しを得て香椎六郎と共にそのまま寒い街へとび出しました。
銀座へ行って見ると、夜店はとうにしまって、人通りの少い街を、刃のような空っ風が、砂塵を巻いて、ヒューヒュー吹き捲っているばかりです。
警察へきいたり、夜店の地割をする世話人にきいたり、やっと竜泉寺町の古道具屋の家をつきとめたのは、その夜ももう夜半近くなった頃でした。
幸い古道具屋は家に帰ったばかり、未だ寝ておりません、門口でつかまえて事情を話すと、これも飛立つような喜びで、
「そいつは大変、とにかく二人にしらせてそれから警察へ届けましょう」