轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ねむりにんぎょう

眠り人形

野村 胡堂

「少女倶楽部」1929(昭和4)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,770 字 · 16 页

青空文庫

三

という者を御存じはありませんか――と。これはこの方の御主人の名前なのです。私も見らるる通りの大道商人で、志はあっても何うすることもできません」

長物語を終った古道具屋のおやじさんは、ひざ掛に目を落して、ホーッと太息をつきました。

「気の毒な話だ、松沢彦次郎さんと言ったネ、なんかの折に聞込むことでもあったら、早速お知らせして上げよう、まあまあ力を落とさずにいなさい――それはそうと今の人形だ、話を聞いては負けろとも言われまい、十円で私が買って行きましょう」

若い紳士は、こう言いながら外套のボタンを外して、大きな紙入れをぬき出します。

「あら叔父さん、たった十円ではお気の毒よ、二十円で買ってお上げなさいよ」

加奈子は高慢な口をきいて、叔父さんの顔を振りあおぎます。鈴を張ったような瞳には、真珠のような涙を一パイためて――。

「古道具屋の言い値より高く買う客というものはないね、まあいいや、加奈ちゃんにやるお年玉だから、加奈ちゃんの気のすむようにさしてやろう」

十円紙幣が二枚、紳士の指先に抜き出されて夜風にふるえます。

三

「お母様、こんな人形を買って頂いたの、可愛らしいでしょう」