轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ねむりにんぎょう
眠り人形
野村 胡堂
「少女倶楽部」1929(昭和4)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,770 字 · 16 页
よし子の眼には、始めて湯のような涙が湧きこぼれました。
「許しておくれよ」
「お母様」
ひしひしとすがりつく二人の胸は、貴い涙でぐっしょり濡れてしまいましたが、何時の間にやら恐怖はあらいながされて、何とも言えぬ安らかさが、二人の胸にしみ込んで行くのでした。
香椎六郎と加奈子と古道具屋のおやじさんは、この中へ飛込んでしまったのです。
そして、母を死神の手から引戻そうとしたよし子のま心、わが子のためにどこまでも世の荒波と戦って行こうと思い定めた母親の愛情は、三人の者を、すっかり泣かせてしまったのでした。
あとはもうお話するまでもありません。
人形の口の中から出た密書を持って、警察へ届け出ると、数十名の警官隊は時を移さず向島へ出動しました。電車に近く、深い庭のある、悪漢の巣窟というと、警察官には直ぐわかりました。
その夜も暁方、悪漢の巣窟を包囲した警官隊は、居合せた悪漢十数名を一人残らずしばり上げて、奥の座敷牢のような場所に、三ヶ月近く押込められていた、よし子の父松沢彦次郎を無事に救い出しました。
夫婦親子、思いもよらぬ対面に、よし子と母親の喜びは申すまでもありません。