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ねぎさまみやた
禰宜様宮田
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页
深い深い水底へ沈んで行く小石のように、まっすぐにそろそろと自分の心の底へ彼の全部が澱んで行ったのである。
皆の者は、ガヤガヤ云いながらロールを動かして来た。柄を引き上げて、一列に並んだ者達は両手はブラブラさせながら、てんでんの胸で押していたのである。
けれども、微かな勾配で自然に勢のついたロールは、押すというほどの力を加えられないでも、自分で軽く動いて行く。
このカーブさえ曲れば、もうお終いだという心の緩みと、労力の費されない気安さとで、下らないお喋りに有頂天になっている者達の胸は、ただ義務的に柄に触れているというに過ぎなかった。
まるで生物のようによく転るロールについて、人々が今、カーブを廻りきろうとしたときである。
突然怯えきった絶叫が、仲間の中から起った。
「アッ! 人! 人※(感嘆符二つ、1-8-75)」
ハッとたじろぐ瞬間、抑えてもないロールの柄は彼等の胸から離れた。
コロコロコロ……
一層惰力のついたロールは、
「石! 早く石、石早く突支え!」
と云う叫びがまだ唇を離れないうちに、今の今まで見えていた人の寝姿を押し隠して、陰気に重々しく二三度ゴロッ、ゴロッと揺り返した。