轻松读懂日语经典作品
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あきのかご
秋の駕籠
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,356 字 · 35 页
胸毛は熊のように濃かった。また脛の毛とくると信じられないほどであった。夏になると、そのみっしり生えた脛毛の中でいつも二三疋の蚊が悲鳴をあげていた。蚊たちは血を吸いにもぐり込むが、脛毛の藪があんまり密なので、それにひっかかって脱出することができなくなるのであった。六助はきげんのいいときには、毛をかきわけてかれらを逃がしてやるのを楽しみにした。
中次は肥えてもいず痩せてもいなかった。色が浅黒く、いなせな顔だちで、年は六助と同じであるが二つばかり若くみえた。うけくちの唇の片方を少し歪め、けむったいような眼をする癖があった。そうすると苦みばしった好い男ぶりにみえた。「魚金」のお梅は彼に熱をあげているが、中次のそんな表情を見ると、胃のところを鳥の羽根で撫でられるような気持になる、と云うくらいであった。彼はきれい好きで、毎日きちんと剃刀を当てるし、三日にいちどは髪結い床へゆくし、垢じみた物など決して身につけるようなことはなかった。
六助は動作がゆっくりしていた。話しぶりも暢びりしていた。怒っているときでも、動作や言葉づかいに変りはなかった。よほど怒ったときでもふくれるだけで、大きな声を出すようなことはなかった。