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びじんたかじょう

美人鷹匠

大倉 燁子

「婦人倶楽部 一八巻九号」1937(昭和12年)7月増刊号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,870 字 · 26 页

青空文庫

その男の足許には風呂敷に包んだ鳥籠があった、その中には鳩や雀がぎっしりと目白押しに並んでいる。

見物の中から声がした。

「雀! さア、十銭――」

カチリ! 白銅が小石に当った。男は早速風呂敷の隅をめくって、一羽の雀を掴み出した。美人鷹匠は十銭投げた子供の方へ近寄って、心さな手に革の手袋をはめてやり、自分の左手に止っている蒼鷹を子供に移した。

「坊ちゃん、あの小父さんが雀を飛ばしたら、勢よく、パッと鷹をお放しなさい。鷹狩の気分を出して――。よござんすか」

子供は恥しそうに顔を真赤にして照れていたが、見ている連中はみんな羨しそうだ。

男はかけ声をしながら、晴れ渡った青空へ向けて、勢よく雀を放った。同時に鷹も子供の手を離れた。

見物はアレアレと騒いでている間に、鷹は心得たもので、悠々と雀を追って地上に舞い戻り爪で押えた、よく馴らされているので、雀に疵を負わせるようなへまはやらなかった。

美人鷹匠は走りよって、鷹から雀を引放し、子供の手にそれを持たせた。

「さあ、お土産です。坊ちゃんがお捕りになった小雀、鷹狩の獲物ですよ」

子供は雀を持って意気揚々と帰って行った。