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びじんたかじょう
美人鷹匠
大倉 燁子
「婦人倶楽部 一八巻九号」1937(昭和12年)7月増刊号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,870 字 · 26 页
「何だろう?」脱ぎ捨てた草履をまた引掛けて、内玄関を出ようとすると、一人の男を先頭に沢山の子供達が門内へ馳け込むところだった。真先にいる男が重そうに抱えているのは達也だった。達也は顔から首筋を血だらけにして、ぐったりと男の腕の中に倒れていた。ぞろぞろと従いて来た子供達は不安そうな眼で、互いに何かささやき合っている。
「達ちゃん、達ちゃん」
小夜子は走り寄って、男の手から達也を受取りかたく抱きしめながら、彼の名を喚んでみた。達也は細く眼を開いて、母の顔を見上げ、微かに口許に笑いを浮べたが、そのまままた眼を閉じてしまった。
彼女はハンケチで流れる血を押えながら、
「早く、早く、お医者様を――、一体、まあ、どうしたの?」
誰に訊くともなく云うのを聞きつけて、子供達は一緒に声を揃えて答えた。
「小母さん、鷹の爪に引掛けられたんですよ」
「今日は鷹の御機嫌が悪るかったんだ」
「鷹が悪いんじゃない、雀が悪いんだわ、雀が逃げ場を失って達也さんの肩に止ったの、そこへ鷹が降りて来て――、達也さんが動かないでじッとしていればよかったんだけれど、吃驚して騒いだもんだから、鷹も驚いて、雀を引掴える拍子に達也さんの咽喉に爪を立てちゃッたんですよ、小母さん」