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びじんたかじょう

美人鷹匠

大倉 燁子

「婦人倶楽部 一八巻九号」1937(昭和12年)7月増刊号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,870 字 · 26 页

青空文庫

ませた小娘が事件の顛末を説明した。

松波博士は急報に驚いて帰宅した。医者が馳けつけた頃には達也は幾分元気になっていた。

小夜子は青い顔をして枕許に附添っている。

「達ちゃん、しッかりして頂戴、これんぽッちの疵、何でもないんだから」と元気づけた。

「そうだ。達也は男子だからな、これ位のことに負けちゃならんぞ」

と云いながらも、父の顔には不安のいろがありありと現われていた。両親は医者の顔色ばかり眺め、彼の眉一つの動きにも胸をドキリとさせた。

手当をすませてから医者は徐ろに口をきった。

「これで、お熱さえ出なければ御心配なことはないと思います」と云って帰った。

小夜子は頼みつけの看護婦会へ電話してみたが、生憎馴染みの看護婦はいない、明朝まで待ってくれれば何とか都合すると会長が云った。神経質の達也が知らぬ看護婦で納まるはずはない、仕方がないから明朝まで待つことにして、今夜は小夜子が寝ず番をしようと腹を定めた。

「奥様、美人鷹匠がお詫びに参りました。若様の御容体を委しく話してやりましたら、すまない、すまない、と申して泣いて居ります。是非お目にかかってお謝罪がしたいから、奥様へお取り次ぎして頂きたいと云って、お台所に居りますが、――どういたしましょう?」