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びじんたかじょう

美人鷹匠

大倉 燁子

「婦人倶楽部 一八巻九号」1937(昭和12年)7月増刊号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,870 字 · 26 页

青空文庫

何でも子供が大病して、その時出来た借金に苦しめられていたらしいです」

「子供は何歳で死んだんだ?」

「九歳」

「フウム」

司法主任は美人鷹匠を喚んで、優しく訊問を始めた。

「お前はどういう理で、松波博士の令息を殺害する気になったんだ?」

女は吃驚して、美しい眼を一杯に見張り、

「殺す気ですッて?」

「ウム」

「飛んでもない。どうして――、私が、そんな恐しいことを――」

「やらないと云うのか? しかし、松波博士の令息はあの暁方亡くなられたんだぞ」

「えッ※(疑問符感嘆符、1-8-77)」

見る見る蒼白になって、ふらふらと起ち上ったが、よろめいて、椅子の背に掴まった。

「旦那、そ、それは――、ほんとですか?」

「鷹の爪の毒、イヤ、爪に塗った毒薬で殺されたんだ。お前は故意と爪を引かけたんだろう? どういう理由があってそんな事をしたんだ。わけを話せ。正直に白状しないと、お前ばかりじゃない、お前の父親にも恐しい共犯の嫌疑がかかるんだぞ」

「旦那、御冗談仰しゃっちゃ困ります。私は毒薬なんか塗った覚えはございません。ああ、――でも、どうしたらいいだろう、――あの若様はほんとにお亡くなりになったんでございますか、それは――、ああ、それは、ほんとの事でございましょうかねえ」