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びじんたかじょう

美人鷹匠

大倉 燁子

「婦人倶楽部 一八巻九号」1937(昭和12年)7月増刊号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,870 字 · 26 页

青空文庫

小夜子は直接花に会って話したいと思い、居所を探したがまるで分らなかった。立派な人格者と評判されている夫が、小間使に子供を産ませたなどと、そんな不行跡を明るみに晒らされてはたまったもんじゃない、夫の不名誉は妻の不名誉でもあるから――。

煩悶の日が続いた。

小夜子は遂いに思い余って、芝で開業している従妹の女医を訪れ、体質の遺伝についていろいろ質問してみたが、その結果は反って彼女の心を暗くするばかりであった。

何も知らない従妹は小夜子の真剣な顔を不思議そうに見て、

「また神経衰弱じゃない? そんな事を気にして――、今ッから達ちゃんのお嫁さんでも定めておこうッて云うの? オホホホホホ。余り気が早いわ。まだ九つでしょう?」と笑った。小夜子も仕方なく笑顔をつくったが、「遺伝しているかどうか、外から見て分らないものか知ら?」とまた真面目に訊くのだった。

「分ることもあるし、分らないこともあるわ。とにかく、松波家の相続人だから婚約しておくとしても、相手の家の血統はよくよく調べておく必要はありますよ。――恐いからねえ」

そこへ患家から迎えの自動車が来た。

「小夜子さん、私、直ぐ帰って来ますから――」