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びじんたかじょう
美人鷹匠
大倉 燁子
「婦人倶楽部 一八巻九号」1937(昭和12年)7月増刊号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,870 字 · 26 页
と起ち上り、
「待っている間に薬局で催眠剤でもつくらせて、少しお飲みなさいよ、大分、神経が疲れているようだから――」
従妹を玄関に送り出したそのついでに薬局へ入ってみたが、生憎誰もいなかったので、彼女は薬を宅へ届けてくれるようにと、頼んで従妹の家を辞した。
小夜子は九年前の記憶を辿って、その頃一緒にいた仲働きのきよという女をよんで、当時の事をいろいろ訊いてみた。しかし、花のその後の消息は知らなかった。
もし手紙にある如く、達也が小夜子の実子でなかったとしたら――、無論この家の相続はさせられない。相続人は親類の中から誰か貰らわなければならないが、それを親族会議に持ち出すのが辛い、その理由を語らねばならないから――。
彼女の頭の中にはその問題がこびりついていて、一刻も忘れられず、絶えず悩まされつづけていた。
あの日以来、小夜子は始終注意の眼を達也に向けるようになった。品のいい、どこから見ても大家の若君らしい容貌、それ等はどうしても小間使風情の子とは思われない、お母様似だと他人様は仰しゃる、達也は誰が何と云っても自分の児だ。あんな虚弱な児を真実の親でなくてどうして育て上げられよう。