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たいない
胎内
三好 十郎
「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页
フフ、こんなところで、あんたがたと、どういうわけで、こんなことになったもんか……自分ながら、ふしぎでしょうがないんだ。
村子 ほんとうに……(シンミリと涙ぐんでいる)縁というか――縁なんて、古くさいようだけど――しかし、なんか、やっぱしほかに言いようはないわね。……あんた、どんな仕事なすってたの?
佐山 なあに、だからブラブラと、この……なんにもする気はしないし、また、できもしないんで――
村子 いえ、その、以前よ、召集される――?
佐山 軽金属の会社の――かなり大きな製造会社ですがね、そこの労務課……学校出てからズッと……こいでも、大学出てるんですよ。(自らを憐れむ微笑)――まじめに、やったなあ。われながら、あわれになるくらい――小心よくよく――国のため……というよりも、みんなの、この、人々のため……そういった気もちで。――働いている工員のために、――あの頃、そりゃ、ひどい待遇でこき使われていましたからね――シンケンになって、上の方の連中と、やり合った。泣いたりしてね。そのために、アカだなんていわれて、ケンペイ隊に呼び出されたり――なあに、ホントはそれほどのなんじゃなかったんだけど――学生時代にすこしかじった、この、社会主義がかった考え方がズーッと残っていたんだな。