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たいない
胎内
三好 十郎
「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页
そいでカゲでは、乞食みたいな、ヤリテババみたいな、タイコもちみたいな、インバイみたい――じゃない、インバイになって――フフ! そうなんだ。どいつもこいつも、ツラあ見てると、死んじまえ! 腹の底から、この――ケイベツ――軽蔑ですよ。僕あ、あれ以来、一人として、軽蔑以外の気持で、人を眺めた事がないんですよ。……そいでね、こうやってみんなを軽蔑している自分が、これでやっぱり日本人で、そして、実は、まっさきに、一番軽蔑すべき虫けらなんだ。そいつを俺が知ってるってことなんだ! そこんとこなんだ! そこんとこなんですよ! ヒヒ! トタンに、なにを考えるのも、なにをするのもイヤアになっちまった。
村子 ……わかるわ。……いえ、すこしは、私にもわかるような気がする。私なんかも、いわれて見ると、それかもわかんない。戦争中まで、あんなカタギな気持の、それこそ世の中のことも男のこともまるで知らないようななにが、こんなふうになっちまった――まるで、そのわけが自分にもよくわからないくらい。ひどいの、変りようが。ふしぎで、しょうがない。のが、やっぱし、それに似たようなカゲンかも知れないわね。