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たいない
胎内
三好 十郎
「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页
花岡 にゃあにを、いってやがる? てめえみたいな、くたばりぞこないのクソインテリに、おどかされて――
佐山 食いものは、この三人の、みんなのもんだ。等分に分けて食うんだ。(花岡の片腕をつかむ)
花岡 ええい! (とそれを振りもぎって)てめえだちゃ、早く、くたばれ! 俺あ、助かって見せるんだ。ヘッ、これしきのことに、花岡の金吾が、ヘヘ!
佐山 ち! (いきなり泥グツをあげて、歯をむいてわめいている花岡の顔を、ガッと壁に向って踏みつける)きさまこそ、くたばれ! きさまみたいな闇のブロオカアの毒虫あ、死んだ方がいいんだ!
花岡 ウッ!……(口の中から流れ出した血を、舌を出してペロリとなめて)やりやがったな! ようし、おぼえていろ、子分どもが、どうするか! ササラのようになってから、ホエづらかくなよ!
佐山 ハ! 子分だ? どこにどうなっていると思っているんだ? 子分がいるなら、つれて来て見ろい! ハ! そとの世間にいりゃこそ、お前は強いかもしれねえ――こないだは、よく俺を踏んづけたりしたなあ。しかし、もう――こうなりゃ、もう――俺あ、こん中で戦争中、血みどろになって――あんだけ、ひでえ目に逢いながら、生きのびた人間だ。