轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなのきむらとぬすびとたち
花のき村と盗人たち
「花のき村と盗人たち」帝国教育会出版部、1943(昭和18)年9月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,710 字 · 20 页
久しぶりでかしらは美しい心になりました。これはちょうど、垢まみれの汚い着物を、きゅうに晴れ着にきせかえられたように、奇妙なぐあいでありました。
――かしらの眼から涙が流れてとまらないのはそういうわけなのでした。
やがて夕方になりました。松蝉は鳴きやみました。村からは白い夕もやがひっそりと流れだして、野の上にひろがっていきました。子供たちは遠くへいき、「もういいかい。」「まあだだよ。」という声が、ほかのもの音とまじりあって、ききわけにくくなりました。
かしらは、もうあの子供が帰って来るじぶんだと思って待っていました。あの子供が来たら、「おいしょ。」と、盗人と思われぬよう、こころよく仔牛をかえしてやろう、と考えていました。
だが、子供たちの声は、村の中へ消えていってしまいました。草鞋の子供は帰って来ませんでした。村の上にかかっていた月が、かがみ職人の磨いたばかりの鏡のように、ひかりはじめました。あちらの森でふくろうが、二声ずつくぎって鳴きはじめました。
仔牛はお腹がすいて来たのか、からだをかしらにすりよせました。
「だって、しようがねえよ。わしからは乳は出ねえよ。