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はなのきむらとぬすびとたち

花のき村と盗人たち

新美 南吉

「花のき村と盗人たち」帝国教育会出版部、1943(昭和18)年9月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,710 字 · 20 页

青空文庫

二

盗人の弟子としては、あまり気が利かなかったことがわかり、鉋太郎はバツのわるい顔をしてうつむいてしまいました。

そこで鉋太郎も、もういちどやりなおしに村にはいっていきました。

「やれやれだ。」

と、ひとりになったかしらは、草の中へ仰向けにひっくりかえっていいました。

「盗人のかしらというのもあんがい楽なしょうばいではないて。」

二

とつぜん、

「ぬすとだッ。」

「ぬすとだッ。」

「そら、やっちまえッ。」

という、おおぜいの子供の声がしました。子供の声でも、こういうことを聞いては、盗人としてびっくりしないわけにはいかないので、かしらはひょこんと跳びあがりました。そして、川にとびこんで向こう岸へ逃げようか、藪の中にもぐりこんで、姿をくらまそうか、と、とっさのあいだに考えたのであります。

しかし子供達は、縄切れや、おもちゃの十手をふりまわしながら、あちらへ走っていきました。子供達は盗人ごっこをしていたのでした。

「なんだ、子供達の遊びごとか。」

とかしらは張り合いがぬけていいました。

「遊びごとにしても、盗人ごっことはよくない遊びだ。いまどきの子供はろくなことをしなくなった。