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わかきひのせっつのかみ
若き日の摂津守
山本 周五郎
「小説新潮」新潮社、1958(昭和33)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,437 字 · 47 页
二
――このことは職制にもあらわれていた。江戸、国許ともに、重職は世襲の交代制で、四十年ちかいあいだ、左に掲げる諸家がその席を占めていた。
▲城代家老 ▲江戸家老
望月吉太夫 秋元六郎左衛門
浜岡図書 望月内蔵允
▲国許年寄 ▲江戸年寄
坂倉斎宮 成瀬幸之進
浜岡十郎兵衛 田島鉄之助
市井主殿 安部久之進
▲側用人
浅利重太夫 栗栖采女
ほかにも中老や寄合、その他の要職があるが、この話では右に挙げた諸家と、これらが五年交代で、きちんと伝承された点を記すだけでいいと思う。――こういう状態のなかで、光辰は家督相続をして摂津守に任じ、一年おいて、二十一歳の十月、初めての国入りをした。
二
初めての国入りだから、初入部の祝いから始まって、いろいろと儀式が多い。むろん国許では怠りなく準備をととのえていたのであるが、その大半は省略されてしまった。
――旅中のお疲れがまだ癒えないから。
側用人の浅利重太夫がそう発表し、諸士引見も略され、恩賞目見も略された。恩賞目見というのは、孝子、節婦、篤農などを、城中に呼んで藩主が褒賞する。