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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

「おられる。何しにござった」

「温泉にいる画工が来たと、取次でおくれ」

「画工さんか。それじゃ御上り」

「断わらないでもいいのかい」

「よろしかろ」

余は下駄を脱いで上がる。

「行儀がわるい画工さんじゃな」

「なぜ」

「下駄を、よう御揃えなさい。そらここを御覧」と紙燭を差しつける。黒い柱の真中に、土間から五尺ばかりの高さを見計って、半紙を四つ切りにした上へ、何か認めてある。

「そおら。読めたろ。脚下を見よ、と書いてあるが」

「なるほど」と余は自分の下駄を丁寧に揃える。

和尚の室は廊下を鍵の手に曲って、本堂の横手にある。障子を恭しくあけて、恭しく敷居越しにつくばった了念が、

「あのう、志保田から、画工さんが来られました」と云う。はなはだ恐縮の体である。余はちょっとおかしくなった。

「そうか、これへ」

余は了念と入れ代る。室がすこぶる狭い。中に囲炉裏を切って、鉄瓶が鳴る。和尚は向側に書見をしていた。

「さあこれへ」と眼鏡をはずして、書物を傍へおしやる。

「了念。りょううねええん」

「ははははい」

「座布団を上げんか」

「はははははい」と了念は遠くで、長い返事をする。

「よう、来られた。